2009年02月10日

新住協 《全国59ヶ所一斉見学会》 参観記


いつもながら、自分のそそっかしさに呆れる。
新住協の 「全国一斉見学会」は、「Q-1.0W住宅の展示会」 だと早とちりした。
ともかく、全国60ヶ所で一斉に住宅展示会を開催するなどということを企画するのは、大手のセキスイハウスぐらいのもの。
他のメーカーは、あまりやらない。
FCでやったという話も、聞いたことがない。

新住協は、鎌田先生を中心とするオープンな技術研修集団。
NPOといったところで、それほど会員社に対して強制力を持っているわけではない。
それなのに、全国一斉見学会の会場が全国で59ヶ所。
・北海道    17ヶ所
・北東北    10
・南東北     9
・関 東    10
・北信越     6
・中部以南   7

さる7, 8日の両日、関東地域の10ヶ所の会場のうち、群馬、埼玉、神奈川の5ヶ所の見学会場を訪ねてきた。

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青葉台のエコハウス

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東松山の夢・建築工房

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越谷の田口材木

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高崎のアライ

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さいたまの無添加計画

2つの点で大きな関心があった。
1つは関東地域のQ-1.0W住宅の性能と仕様はどのようなものなのか?
もう1つは、この時期にどれくらいの参観者を集めることが出来るか?

ところが、訪れた会場のQ値はいずれも1.6Wから1.9W。
「羊頭狗肉ではないか!」と思わず大声を出しそうになり、慌てて置いてあった案内図を見たら 「Q1.0住宅 & 高断熱住宅見学会」 と書いてあるではないか。
そして、59社のQ値を調べてみたら、四捨五入してQ値が1.0W以下の住宅はたった8棟しかない。全部を平均したらR-2000住宅よりも性能が悪い。
「なんだ」 と思ったが、これは早とちりしていた私が悪い。
Q-1.0W住宅というから、北海道地域1.2W、W地域1.4WのR-2000住宅よりも、1歩も2歩も進んだ住宅造りのグループだという先入観を持っていた。
Q-1.0W住宅が、パカパカ建てられているのだと考えていた。
しかしR-2000住宅に比べると、現時点での実績と意識レベルは、やや低い。

実際に見たものは、4月からの改正省エネ基準をやや上回るという程度のもの。性能的には残念ながら学べるものが少なかった。
実際のところ、4寸柱を使って繊維系の断熱材で1.0Wの熱損失係数を出現さすということは、容易な仕事ではない。
120mmの高性能グラスウールを充填して、外側にKMブラケットで100mmの硬質ロックウールを使わない限り達成は不可能。

以前にも書いたが、新住協が目的としている最低の数値は、QPEXという熱計算システムで当該地域の新省エネ基準値の暖房費を調べ、「その暖房費の1/3の燃費で上がる家造り」 を目指している。したがって、VおよびW地域では最初からQ-1.0Wを目指しているわけではない。
59棟の住宅全部に、Q値のほかに総熱損失係数、自然温度差、年間暖房エネルギー消費量kWh、年間灯油消費量リッターが明示されている。
どこかの団体のように、意識的に羊頭狗肉を演じているわけではない。

しかし、4月から改正省エネ法が施行されると、今までの新省エネ基準の1/3の燃費というわけにはゆかなくなる。
また、昨年から始まった 「ハウス・オブ・ザ・イャー・イン・エレクトリック」。
最優秀の一条工務店のQ値は1.06W(私の聞いていたのは1.16W)で、次点のスウェーデンハウスは1.27Wであった。
つまり、準大手の一条工務店やスウェーデンハウスは、W地域において1.3Wを切る商品をすでに開発している。(2008年の今週の本音欄、技術・商品情報の4月10日を参照)
北海道で、セキスイハイムがQ値0.99Wのシェダンを開発し、パカパカ注文を取り出したので地場ビルダー側がQ値1.0Wの商品が不可欠になってきた。そういった経緯を思い出していただきたい。

関東地域でも、今までは地場ビルダーが独占していた超高気密・高断熱の需要が、一条工務店やスウェーデンハウスに蚕食されてきている。
新住協の地場ビルダーは、総合展示場へ出展していないから、これらの中堅住宅メーカーと直接競合することがない。多くの仕事を取られているのだが、直接競合してやられたという経験がないので敵の姿が見えない。
したがって、今までの新省エネ基準の1/3の燃費で、これからも十分に商売出来ると考えがち。
危機意識が欠けているように、私には感じられる。

地場において、安定した需要を確保してゆくには、W地域でも1.2Wから1.3WのQ値を達成してゆくことがごく近い将来、絶対的必要条件になってくる。
つまり、少なくともR-2000の1.4Wを越えないと、次第に性能的競争力に陰りが出てくる。
しかも価格的は、地域によって異なるだろうが40坪の住宅で、坪60万円前後で納めないと中堅メーカーに太刀打ち出来ないはず。
ツーバィフォービルダーだと204を206に切り替え、ダブルハニカムでなんとかこの数値に近づくことが可能である。
しかし、4寸角の木軸の場合は、価格面まで踏まえて考えると、この数値に到達するのは技術的、価格的に容易なことではない。
そのことを、強く意識させられた。

さて、もう1つの関心事だった2日間の集客力。
すでに、何回かのイベントを催した後だったので、20組以下の集客しかなかった1棟を別にして、他はこの時期にしては珍しいほどの集客を見せていた。
5棟のうち3棟は2日間で延べ80組以上の来客で賑わっていた。
私の聞いている範囲では最高に近い集客。
もちろん、このうちどれだけが契約にまで到るのかは分からない。
だが、クチコミ客も多く見られ、この厳しい時期を忘れさせるものがあった。
やはり、個別の見学会ではなく、全国一斉見学会ということで、カラーチラシなどの効果が大きくものを言っているのだと思う。
そういった意味では、こうした合同イベントは、他のFCでこれから採用されてゆくかもしれない。

最後に、この全国一斉イベントのおかげで正真正銘の地場ビルダーに出会うことが出来た。
そのビルダーは、横浜・青葉区のエコハウス。

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上の住宅地図の1ページを見て頂きたい。
狭い青葉台の、ほんの一角の街並み。
ここに、過去30年間になんと44戸もの注文住宅を建てている。
新区画を分譲したのではない。
東急田園都市線の青葉台駅に近い古い市街地。
そこでの建て替え需要のほとんどを、同社が獲得している。
近隣3戸を連続で受注しているところが3ヶ所もある。

同社の社員20人でうち1級建築士が4人、2級建築士が7人、宅建・インテリアコーデネィター・断熱施工技術指導者の各有資格者が3人ずつという完全な技術者集団。
そして、月の受注が2棟平均で年間完工が24棟というコンスタントさを誇っている。
そして、そのうちの8割が青葉区内で、さらにその半分が近隣地域のクチコミ客だという。
このようにエリアが狭いので、電気工などの職人は、場合によっては日に3ヶ所の現場を移動時間なくて掛け持ち出来るという。
このため、コストが大幅に安くなる。
最近はQ値が1.5Wの家が多いが、40坪の家だと平均坪単価が60万円で上がるという。
同社を選んだ理由を施主に聞くと、「空間を含めた間取りなどのプランの提案力が優れている」 ということと 「価格がこなれていること」 だという。

私は長く東京で商売をしてきた。全国に優れたビルダー仲間もいる。
だが、注文住宅でこれほど狭いエリアで、しかもマーケットシェアが圧倒的に高い地場ビルダーにお目にかかったのはこれが初めて。
世の中には、こんな『珍種』とも言えるビルダーも居るのだということを知り、本当に嬉しくなった。

第一次オイルショック以来の一大危機。それにもびくともしない素晴らしい地盤とファンを持ったビルダーが、世の中に存在している…。
posted by unohideo at 17:14| Comment(0) | ビルダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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