2009年02月28日

吹き込み断熱材(Loose Fill)の種類と問題点


最近、天井・屋根、壁、床に、グラスウール(GW)、ロックウール(RW)、セルロースファイバー(CF)、木繊維、羊毛、コットン、麻繊維、ヤシ繊維、発泡ビーズ、ウレタン再生粒子などを吹き込むブローイングによる断熱が増加してきている。
そして、単に断熱材の熱伝導率だけを問題にするのではなく、蓄熱性能を重視する声が欧米では強く叫ばれてきている。
つまり、K値だけで判断することに対する疑問が日本でも浮上してきている。
もっと蓄熱性に注目すべきではないか、と。
といっても、私は断熱材に関しては素人。
たまたま音熱環境開発の三星社長から、Energy Design Update誌などのデータを基にした資料をいただいたので、この要点を紹介したい。
お断りしておくが、この内容について私は一切責任が負えない。
疑問のある方は、直接 011-762-7805 へ問い合わせていただきたい。


【グラスウール】
グラスウールには、(1種)細繊維4〜5ミクロン、施工密度13k/uのPrimary Wool品と Bonded Wool再生品の2種類と、(2種)通常のグラスウール(7〜8ミクロン)をハンマーミルなどで小塊状に加工した施工密度18Kがある。
断熱性能は13K, !8Kとも、各メーカー品ともIBECの評定ではλ値0.052W/mK。
しかし、このような低密度で0.052W/mKという表示をしているGWは、欧米では見当たらない。アメリカ、カナダでは同密度ではλ値は0.058Wから0.062W/mK。

このような低密度ブローイングは、外気がマイナスになると断熱材内部で対流が起こり性能が低下する。外気温が−10℃、−20℃となると性能が1/2から1/3になることをOrkridge National Labやテネシー工科大で発表している。これに基づいてカナダ政府は細繊維ブローイングの密度を16K以上にするように行政指導を行った。
しかし、細繊維ブローイングの密度を高くすることが出来ないので、天井吹きつけの表面にタイべックの施工を行ってみたが効果がなく、ブローイングの表面に高密度の薄いマット状のGWを追加施工して効果を出している。
このような問題が発生する原因は、熱伝導率測定方法に起因。
断熱材の両面をプレートではさみ、熱流が定常状態になった温度差から熱抵抗を測定して熱伝導率が算定される。つまり、プレートを被せた状態の測定では対流による損失が測定出来ない。このため、アメリカではASTMによる測定見直しが議論されてきた。
日本では、低密度ブローイングの対流による性能的影響を、実験・研究している大学、研究機関は皆無。
パッシブハウスなどが叫ばれて、天井吹き込みの断熱厚が次第に厚くなってきている。施工業者がきちんと施工しても、根本的な見直しがなされないと、折角断熱材を厚くしても、その効果が消費者に正しく還元されないということになりかねない。

また、壁に35Kという密度で吹き込むと、ウールの反発性がつよく、石膏ボードが太鼓状にふくらむので、20K程度に抑えている例もみられる。
ただし、GWの発ガン性についてはWHOの下部機関であるIARCが、長年調査、実験を行った結果、その危険度はコーヒー並の危険度にランクダウンされた。発ガン性については心配しなくても良くなったのは幸い。


【ロックウール】
RWのブローイングウールは2社しかない。
日本ロックウール社のエスブローウールとJFEロックファイバーのロクセラムブローウール。
そして、GWは各社共通の通則認定に対して、RWは個別認定であることを知っておく必要がある。エスブローウールのλ値は0.04W/mkに対して、ロクセラムブローウールのλ値は0.047W/mK。施工密度は30K±5Kで、最低25Kの密度を保証。

RWはGWのようにBonded Woolからつくるのではなく、Primary Woolから作るため、密度が安定しているということと総じてホコリが少ないと言える。
そして、壁に吹き込む時の密度はGWの2倍近い65K±5K。このためλ値0.039W/mK。
このように2倍近い密度だが、繊維の反発性が少ないので石膏ボードが太鼓状に膨らむことがないのが利点。
さらにRWはGWと異なり実際の施工密度は表示より高くなる傾向がある。そして、外気温が低下しても断熱材内部の対流発生が少なく、性能の低下がない。むしろ外気温が下がると断熱性が良くなるとのOrkridge National Labのデータが発表されている。

しかし、施工密度が高いということはコストがアップするということ。さらに繊維が固くショットなどが含まれるために施工機械の損傷も激しい。高密度であるということは断熱性能も高く、対流も起こらず、施工後の沈下現象も非常に少ないというメリットはあるが、コスト面でのデメリットは避けられない。


【セルロースファイバー】
古新聞、雑誌、電話帳などの古紙を粉砕し、ホー酸類、ソルビン酸、その他の薬品を添加して難燃化、撥水性を強化した断熱材。
この断熱材に対する評価は極端に分かれる。
一方では、資源再利用のエコ商品の代表格としてドイツでは高い評価。λ値も0.04W/mkでGWよりは良い。吸音性もRWと同等。
一方では(1)非常にホコリが多い (2)自重沈下で上部に隙間が出来るのでバンバンに吹き込み、横胴縁を入れて石膏ボードを取り付けねばならない (3)ホー酸25%以上添加しないと準不燃にはならない (4)添加物の安全性が確証されていない (5)バーナーを直接当てるともぐさのように着火する、などとアメリカ、フランスでの評価が低く発ガン性に言及する意見も…。

これについては、IARCの責任者であるDr.Grosseが2007年6月に2年半から3年掛けて人体に対する安全性の研究結果を発表すると発言している。
少なくとも、来年中には発表されるはずだから、消費者はその結果を確かめてから採用の是非を考えるのがベターかもしれない。


【その他の断熱材】
ウッドファイバー、コットン、羊毛、パームファイバー、ジュートなどの動植物性の断熱材は、それぞれにミネラルファイバーにない特徴を備えている。利用するだけの価値のある断熱材ではあるが、共通の弱点は火に弱いこと。どうしてもホー酸、水酸化アルミなどの薬品を添加して難燃化することが求められる。
とくにダウンライトの場合は、天井配線を含めて漏電が起きないように保護対策を完全に講じなければならない。
工事面での課題解決を、最優先で考えてゆかねばならない。
posted by unohideo at 17:08| Comment(1) | 技術・商品情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
吹き込み断熱材(Loose Fill)の種類と問題点: 鵜野日出男の今週の本音2009・2010
Posted by gucci 新作 バッグ at 2013年07月21日 02:54
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