2009年04月20日

一条工務店の挑戦状・何が低価格を実現させたのか(中)


一条工務店から案内メールをもらった時、次の4点は絶対に解明したいと思った。

《1》 自分が関わった住宅でQ値が0.9W住宅の宿泊体験は持っている。しかし、Q値が0.8Wを切る住宅での宿泊体験がない。是非とも0.76W住宅での体験宿泊で、その快適度を確かめたい。

《2》 同社は全熱交換機を採用。そして、浴室とトイレは局所間欠運転。カナダのR-2000住宅の基準から言うと完全な間違いを犯している。温度差、結露、カビ、一時的な負圧現象などで・・・。全熱換気の局所間欠運転は本当に問題がないのだろうか。

《3》 同社は全面的に床暖房を採用している。Q値が1.4WのR-2000住宅以上の性能住宅では、吹き抜け空間であっても1階床と2階の天井との温度差はせいぜい1℃。床暖房の必要性が一切ない。床暖房とクーラーの2重投資はムダではないか・・・。

《4》 同社のi-cubeのカタログでは、50坪の住宅のモニター価格が坪当たり53万円と表示されている。同社の今までの商品価格は、高くはないが決して安いとは言えない。ということは坪53万円というのはどこまでもモニター価格で、実際の販価は坪60万円を超すのではなかろうか・・・。

まず、《1》である。
なるべく寒い時期に宿泊体験をしたかったので、指定された日では一番早い4月10日を選んだ。
ところが当日は、昼はコートが不要なほどの暖かさ。やっと明け方に4℃になるという天気予報。
このためリターン温度25℃に設定された主寝室の床暖房もほとんど作動せず、レザー光線を当てると床、天井とも21℃。暑がり屋の私にとっては適温。
ハニカムシェードを降ろし、パジャマを持参するのを忘れたので、パンツとランニング姿で毛布のない布団に潜り込み、読みかけの本を読んでいたらいつの間にかそのまま朝まで寝込んでしまった。

深い熟睡は、ストレス解消の最大の良薬。前夜のグランドホテルよりは快適。
早朝の床、天井とも21℃。
ただ、寝室に温湿度計がなかったので、相対湿度が確かめることが出来なかったのが残念。といっても、相対湿度が気になったわけではない。いつも見慣れているものがないと、物足りなく感じたというだけ。

それと、肝心の実験を忘れた。
それは寝る前に浴槽に浸かり、真空断熱材の蓋をして、翌朝そのまま追い炊きをせずに浴槽に入って見ようと考えていた。
ところが、朝起きたらいつもの癖で散歩に出てしまい、浴槽に浸かることをコロリと忘れてしまった。まことに残念。
話によると、真冬でも一晩でせいぜい2℃程度しかお湯の温度が下がらないと言う。
温かいまま数日お湯を変えないと、それこそレジオネラ菌が発生して24時間風呂と同様に大問題になろうが、朝そのまま入浴出来、そのあとの温水で洗濯が出来れば一挙両得。

《2》については、すでに「ネット・フォーラム」欄で触れているので省略させていただきたい。これを議論するにはいろんな試験装置を持ち込み、データを集めない限り確言は出来ない。
ただ同社の場合は、浴室やトイレの換気が24時間連続運転はしていないけれど、各居室や廊下との温度差がないことだけは保証出来る。
なぜなら、2階のトイレも廊下も、1階のユニットバスの床にも床暖房がなされている。
とくに浴室の床暖房は、同社に限らず評判が良い。
しかし、そのためには現場施工が不可欠であった。
それを、同社は内製のユニットで達成していたのだから、脱帽。

P1010232.JPG
内製の床暖房付きバスユニット。槽と蓋に真空断熱材が充填。

次は《3》の床暖房。
これについては、見学会に参加した木建研の林勝朗工博から、北海道における床暖房の経緯について、次のような適切な説明があった。
「床暖房を取り上げたのは北海道が一番早かった。しかし、高気密住宅が普及してきたら次第に床暖房が少なくなってきた。その理由は、床暖房では温度調節がうまくゆかず、パネルヒーターの方が温度調節は楽で、しかも快適だったから・・・。三種換気の給気口の下にパネルヒーターを設けることにより、コールドドラフト現象を防げたことも大きかった。また、低温床暖房の普及は、とくに老人や幼児に低温火傷を起こす危険性が叫ばれ、北海道では床暖房がほとんど普及していない」と。
この説明は、私が得ていた知識と一致。
だから、「今頃になって、しかもQ値が0.76Wの超高性能住宅で、床暖房を必須条件にしているのは何故? 一条は何を考えているの!」との疑問が・・・。

しかし、この疑問は価格を聞いて氷解。
もし、地場ビルダーが、押入れ以外の2階を含めた全室の床に床暖房を入れて欲しいと施主に依頼されたら、おそらく200万円はかかるであろう。
ところが一条のオール床暖房費は60〜70万円で上がる。
つまり、パネルヒーターよりも安い。
それは、工場で全室に配管下地がなされて出荷されるから。
それが標準仕様。そして、現場で簡単にパイプ配管がなされる。
熱源は、北電の融雪用の22時間使える「ホットタイム」が使われていた。
つまり、われわれビルダーは、世界の潮流がそうであるように床暖房は無視すべき。
とくに同社と競合する場合には、床暖房を前提にしていると完敗の憂き目に遭う。
そして、一条と同社の施主にとっては、床暖房は最良の選択肢としていつまでも残る。

P1010241.JPG
物入れの中のホットタイムと、リターン温度を25℃に設定して1,2階に分かれた回路。

P1010227.JPG
畳の部屋も床暖房。温度で変色しないようイグサではなく和紙を編んだ畳表を使用。

さて、いよいよ問題の、《4》の坪単価。
単刀直入に書く。
50坪で53万円は、一時のモニター価格ではなく標準価格。

アルゴンガス入りのLow-EペアのPVCサッシ+ハニカムシェードでU値は約1.0W。
これに全室床暖房とクーラーと、熱回収率90%の全熱交換機ロスガード90が付く。
もちろんオール電化住宅。
そして、下の写真のように外壁は206に隙間なくEPS140mmを充填させ、その外側にEPS50mmを外断熱として施工。
1階のスタッド、合板、EPS、縦胴縁はすべて越井の技術を導入して防蟻処理済み。
天井断熱はEPS235mm。
これでQ値が0.76W。

P1010243.JPG

しかし、ここまで書いても、ビルダー各社も大手メーカー各社も、ピンとこないだろう。
その脅威が、実感出来ないと思う。
i-cubeは今までの同社の商品のようなプレカットではない。
サッシを取り付け、一部を除いて外装仕上げや内装の石膏ボードまでが施工された完全なプレハブパネル。
これを3メートルまでの長さで現場へ搬入される。
そして、屋根材を葺き終えるまで丸2日しかかからない。
ハイムやトヨタホームのユニット住宅とほぼ同じ工期。

しかし、完全プレハブであるために、特定行政庁では中間検査が出来ない。
このため、特認をとる必要がある。
現在はその特認を取る作業と、モデルハウス建設の準備に追われている。
そして、特認が降りるであろう夏過ぎには、今まで内地では見なかった超高性能住宅が、破格の価格で登場する。

何故、フル装備のQ値0.76Wの住宅が、50坪で坪53万円の価格で出来るのか?

その最大の謎を、皆さんで解いてみて頂きたい。

posted by unohideo at 08:51| Comment(0) | 住宅メーカー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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