2010年01月03日

温暖化に対する18の解答書  アル・ゴア環境総研編


今週は、正月休み中ですが、あえて早めに本音を掲載させていただきます。

P1020151.JPG

アル・ゴア著「私たちの選択 (Our Choice)」(ランダムハウス講談社 税込み3360円)

3年前に出版された「不都合な真実」はベストセラーになり、映画にもなった。そしてゴア氏はノーベル賞を獲得した。
それまで温暖化問題を取り上げていたのは主に科学者かサイエンスライター。それと問題意識を持ったジャーナリスト。
どちらかというと、学問の範囲にとどまっていた。
それを、社会ならびに政治の分野にまで引き上げたのがゴア氏の功績。
用いられていたデータは特別に新しいものではなかった。
一般的なデータを、誰もがよく分かるように、カラー写真と明解なグラビアで目に訴えた。
後退する北極の氷にとまどうシロクマ。キリマンジャロから失われつつある氷河・・・。
それらの映像が人々の脳裏に焼き付いた。
つまり、ゴア氏という最強のプロパガンダによって、多くの人々が温暖化問題に目覚め、追いつめられている地球と人類の危機を知った。

昨年暮れの17日、新幹線で京都に向かう折に時間的な余裕があったので丸の内丸善に寄った。書評用の住宅・健康関係本を買うために。
その時、店頭に並べられたばかりの「私たちの選択」が目にとまった。
しかし19cmX24cmという特殊サイズで、上質紙で厚さが420ページもある。こんな重くてカサばる本を持って京都まで往復する必要はなかろう。
そして、どうせ「不都合な真実」の二番煎じにすぎないだろうから、読むのは正月休みで十分間に合うはず、と考えた。
この判断ミスのため、たぐいまれな力作を、2009年下半期の最高傑作として紹介することが出来なかった。

この著書は、今までの温暖化関係本とは根本的に違う。
経時的に差し迫りつつある温暖化の危機を、科学的に立証するのが目的ではない。
誰もが書いてこなかった「総合的な解決策」を系統的に用意しているところに、最大の特徴がある。
前著を著してからゴア氏の周りには、世界中の第一線の専門家が集結している。
そうした専門家による問題解決のための「ソリューション・サミット」を、ゴア氏が進行役となって30回以上開催してきた。
つまり、この著はゴア氏個人が書いたものではなく、「ゴア環境総合研究所」 と呼んでもよいトッププロが議論を重ねた上での結論に基づいて著したもの。だからズシンとした読み応えがある。

ともかく問題点を18に分類した。
それぞれの問題点を章立てにし、章ごとに世界の最新情報と経験値を集めて、解決策を提示している。
それぞれの章が、短いけれど1冊の本に匹敵するほどの価値がある。
このため歯応えがあり、年末も押し迫った30日の夕方7時から読み始めたら やめられない、止まらない・・・。年末の雑用を放り投げて31日の夜の11時までに一気呵成に読まされた。
それほどの吸引力があるということ。
間違いなくこの著は、数年来の 「最高傑作本」 と言っても過言でない。

本来は、18章を3章ぐらいずつに区分けして、計6回に亘って紹介すべきなのだろう。
そのようにしょうと考えたが、途中で止めた。
なぜなら、この著書は住宅に関係しているビルダーや設計士、資材・設備関係者はもとより、これから住宅を建てようと考えている人、あるいは住宅の改修を考えている人、さらには当面住宅計画がない人を含めて、全ての人に買って読んで頂きたいから・・・。
なまじこの欄で詳細にその内容を紹介すると、それを読んで分かったつもりになられる可能性がある。単なる耳学問では人類史上最大の問題を、腹の底から理解して頂くことは出来ない。
たしかに税込で3,360円というのは高い。サラリーマンにとっては一週間分の昼飯代に匹敵する。しかし、3,360円は自分に対する投資。
というわけで、各章の一部分のサワリのほんの一節だけを、解説抜きで訳文のまま紹介することにした。そのことを了解頂きたい。

序 章
中国は、その巨額な経常黒字を使って、世界のエネルギー会社や油田の支配権を買い占めている。太陽光パネルの生産を一手に握ろうという野心的な計画にも乗りだしている。風力発電でも、間もなく中国が世界最大の発電地域になろう。そして、中国の津々浦々をつなぐ800キロボルトのスーパーグリッドを敷設して、これまで世界になかった高度な送配電用スマートネットを構築しようとしている。
対称的に米国は、海外の石油に依存して経常赤字を拡大し続けている。中国からお金を借り、ペルシャ湾から石油を買い、地球を破壊するやり方で燃やしている。

第1章  上がるものは必ず下がる
地球温暖化を引き起こす圧倒的な原因であるCO2は、熱や電力を得るために石炭を燃やし、輸送のためにガソリンなどを燃やすこと、森林破壊などによって増大。
量は少ないけれども気候の危機原因の2番目にくるのはメタン。総合的にいえば、メタンの温暖化への寄与度はCO2の約2/3の大きさというのが現在の知見。
そして最近、第3の原因として注目されているのがブラックカーボン。この排出源はバイオマスの燃焼。とくにインドと中国に脅威を与えようとしている。森林や草地を焼いたブラックカーボンが、乾燥期のヒマラヤやチベット高原に溜まって大気を汚染し、ヒマラヤ氷河の75%はわずか10年のうちに姿を消すという。インドと中国の飲料水と農業用水は氷河の雪解け水から得ている。その氷河が無くなろうとしている。

第2章  私たちのエネルギーはどこから来て、どこへ行くのか
再生可能エネルギー価格が下がってくる理由として、3つ上げられる。
1つは、再生可能エネルギーは、インフラさえ構築すれば、その燃料は無限にあり、無料だということ。ただし、メンテナンスや償却を忘れてはならない。
2つは、化石燃料の技術が成熟しているのに対し、再生可能エネルギーの技術は急速に進歩しているし、これからもイノベーションと創意工夫によってコストダウンが可能。
3つは、世界が再生可能エネルギーへの移行を明確に約束すれば、生産量が増加してコストが急激に下げられる。今までも需要が2倍になれば、コストは20%下げられてきた。

第3章  太陽からの電力
第1世代り太陽電池の9割以上はシリコン製。比較的高価な金属フレーム付きのガラスが必要なために、革新的な低コストの設計ができないかと科学者は模索してきた。
新型の「薄膜型」は、今のところ光子から電子への変換効率が多結晶シリコンよりは低いがコストは安価。これに最先端のナノテクノロジーを用いることで効率が高められるかもしれない。
間欠エネルギー源の電力の合計が20%以下であれば、電力供給網に組み込める。だが、その割合が越えると難題。革新的な解決策の1つが電気自動車の蓄電池を利用する方法。

第4章  風を活かす
米国では風力タービンの製造、設置ですでに数万人の新規雇用が創出されている。
風力発電の魅力は、2ヶ月もあれば設置できるということ。メンテナンス費用が少なくて済むこと。耐久力が勝っていること。それと他の発電と異なり水を必要としないこと。
それと地上だけでなく洋上でも発電出来る。ノルウェーのスタット社とドイツのシーメンス社水深の深いところでの浮体式洋上ブラットフォームの取組みを始めている。イギリスではテムズ川河口沖に270基、1000メガワットを2012年に完成予定で建設中。

第5章  地熱エネルギーを吸い上げる
地熱資源は、世界が一年間に消費する一次エネルギーの28万倍もある。米国だけでも地下3キロまでの地熱資源は、現在消費しているエネルギーの3万年分はある。そして最大のメリットは太陽光や風力と異なり間欠運転ではないということ。
現在稼働している地熱エネルギー資源は、全世界で約1万メガワット。
フィリピン、エルサルバドル、コスタリカでは地熱発電の比率が15%を越え、5〜10%の地域はケニア、アイスランド、インドネシア、ニカラグアなど多くに及んでいる。
これとは別に地中熱ヒートポンプが注目され、米国だけでも1000ギガワットが可能。

第6章  育つ燃料
トウモロコシを原料とする第一次エタノールは、当初私も推進役だったが、これは明らかに間違いだったと確言出来る。同じようにインドネシアやマレーシアで森林を伐採して奨励したパーム油のプランテーションも、明らかにミステークであった。
第二世代のエタノールとして食料にならない繊維系が注目され、米国では森林廃棄物などで13億トンのセルロース系バイオマスが加工出来ることが分かった。

第7章  CO2の回収・貯留
CO2の回収・貯留(CCS)のアイディアは大変に魅力的。だが、技術的にすぐ使えるものではない。ところが石炭電力会社は、CCSが直ぐにでも使える技術であるかのように宣伝して、石炭発電をやめようとしない。CO2を回収し、貯留する施設を動かすために、既存の石炭発電所3〜4基ごとに1基、石炭発電所を新設しなければならないという笑い話。
実際にCCSの採算がとれるかどうかが分からない。とれるようにするためには、排出されるCO2に高い価格をつけるしかない。

第8章  原子力という選択肢
かつては、原子力はCO2を減らす1つの選択肢であり得た。しかし、米国の原子力は低迷と衰退に直面している。その最大のネックは原子力発電所の建設コストが激しく高騰していること。このため電力会社は発注を断念してきている。
フランスで電力の3/4が原子力に依存出来ているのは、原子力プログラムの100%をフランス政府が所有しており、電力の大半が政府に売却されているから。このため、この事業の財務状況は透明性に欠け、補助金額を突き止めることは難しい。ただし、フランスの核廃棄物の再処理プロセスと安全性、信頼性では素晴らしい実績を残している。

第9章  森 林
地球上で毎日400km2、年間で14万km2の森林が伐採されている。そのうちの半分は植林されているので、正味の森林消失面積は7万km2。
中国は世界一の植林国。ここ数年の植林本数は、中国以外の国々の全てを合わせた本数より2.5倍も多い。ブラジルで伐採されている本数よりも1/3も多い本数が中国で植えられている。だが、自国で植林する一方、熱帯雨林の木材を多く輸入し、コンゴ盆地の2万8000km2の土地を購入してこの土地をパーム油のプランテーションにする計画。

第10章  土 壌
過去1万年に化石燃料の燃焼によるCO2排出量は約3000億トン。これに対して樹木の伐採、焼き払い、土壌劣化によるCO2の排出量はおよそ4700億トン。
土地を耕さず、除草剤を少なくし、化学肥料を少なくし、茎や葉などの植物残渣は土地に残し、牛やヤギを畑で飼うべき。
そして農家への補助金は農作物の生産額ではなく、どれだけCO2を土壌に戻したかによって支払われるべき。

第11章  人 口
世界の人口は90億人強で抑制される見通しが得られてきている。人口抑制の4大ポイントは (1)女子への教育の普及 (2)女性の社会的、政治的地位の向上 (3)子どもの生存率が高いと確信出来ること (4)女性が子どもの数と出産間隔をコントロール出来ること。この4の要因のどれ一つ欠けてもダメ。そして、最も効果のある避妊薬は、両親が子どもは途中で死なないと信じられることだ。

第12章  より少ないことはより豊かなこと
最初に書いたようにunoの方で解釈を加えることはしていない。ただ、この項目だけは唯一解釈を加えたい。 この項目では省エネ住宅について触れている。しかし、住宅の省エネに関する専門家がゴア氏の周りに不在らしい。このため、EUの「全建築物の省エネ性能表示の義務化」とか「新築建築物の高い省エネ性能の義務化」の革新的な制度が等閑視されている。したがって、この章だけは残念ながら評価出来ない。

第13章  スーパーグリッド
米国の時代遅れの電力網が、社会にもたらすコストは推定2060億ドルにものぼる。
遠隔地にある太陽光、風力の送電に最も適しているのが高圧直流(HVDC)。この優位性の1つは頭上の送電塔に架設するのではなく、簡単に低コストで地中に埋めることが出来る点。住民の反対が回避出来る。電力網の近代化によって、社会が得られる利益と支払う費用の割合は、4対1で、利益が大きく上回る。

第14章  私たちの考え方を変える
米国民の1人当たりの衣類購入額は1991年から2005年までの14年間に2倍になった。この狂ったような生活で、1人当たり日に64kgという驚くほどの廃棄物を出している。
テレビの広告によって、人の脳が自己統制力を失ってきている。

第15章  炭素の本当の価値
民主資本主義にとって競合相手だった共産主義が消滅したことで、一極世界という幻想が生まれ、思い上がった金融資本が「市場原理主義」のバブルを膨らませた。そして、「温暖化防止のために地球全体で制約が必要だ」という考えをあざけ笑った。
市場は短期的な利益を追い、長期的な投資を過小評価してきた。私たちは民主資本主義の原則に戻り、長期的で責任感を持つ持続可能な資本主義を構築しなければならない。

第16章  政治的な障害
人類が、温暖化を引き起こしていると考えている民主党員は75%に対して共和党は19%。
エクソンモービル社が、何一つ科学的な根拠がないのに、IPCCが唱えている温暖化の危機は誤っているとの偽情報を流している39の団体に、数百万ドルの資金提供をしていたことが明るみに・・・。また、石油、石炭、自動車などの企業は未曾有のロビイストを送り込み、08年だけで9000万ドルがロビー活動に費やされた。上院議員1人につき4人以上のロビイストが・・・。気候法案に反対するロビイストの数は賛成の8倍以上もいた。

第17章  情報の力
中央情報局(CIA)は、スパイ衛生から送られてくる情報の中で、環境に関する情報を提供するMEDEA計画を初代ブッシュ時代に承認した。こうした極秘の計画で得られる地球に関する情報量は、科学者たちが誰でも見られる状態で集めているものよりもはるかに多いのだ。学者の1人のクリス・クラークは「このシステムは、音響型のハップル望遠鏡だ」と評した。

第18章  私たちの選択
今からそれほど遠くない将来、新しい世代が私たちに対して質問を投げかけるだろう。
「あなたは何を考えていたのですか? 目の前で北極の氷が全て解けてゆくのが見えなかったのですか? 科学者達の警告が聞こえなかったのですか? 心は別のところにあったのですか? 気にしなかったのですか?」
または、それとは違う質問かもしれない。
「あれほど多くの人々が解決不可能だと言っていた危機に対して、解決するためにあなたは立ち上がった。その道徳的な勇気を、どうやって得たのですか?」
私たちは、今この問いに答えねばならない。その答を、言葉ではなく行動で示さねばならない。


posted by unohideo at 08:36| Comment(2) | CO2と環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント

まさか中だしで4回もやらされるとは・・・!!!!
MっぽかったのにHになると豹変しやがったwwwww
あんなのほとんど逆レイ-プじゃねぇか!!ヽ(`Д´)ノ

とは言っても7万ももらえたので
また犯されたいなぁ(゚∀゚)とか思ってる俺wwwww
http://mu.tokorogadokkoi.net/nn279h6/
Posted by 原口ひろし at 2010年01月09日 11:56
メンズファッション バッグ グッチ http://www.guccienvyjp.biz/
Posted by バッグ グッチ at 2013年07月23日 21:10
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。