2010年03月06日

石油の次はマグネシウムだという画期的発明? or 大ボラ?(下)

次は、レーザーでマグネシウムをつくる技術。

かつてはマグネシウムの製錬には電解法が採用されていた。
しかし、現在では石炭を大量に使うピジョン法が主流になっている。
このピジョン法では1トンのマグネシウムをつくるのに11トンもの石炭が必要だと言われている。
そして、安価な石炭を投入出来る中国が1995年以降急激にシェアを伸ばし、現在では8割もの比重を占める寡占状態に…。

マグネシウム化合物から直接マグネシウムを取り出すには約2万℃相当のエネルギーが必要。そんなエネルギーを与えたら製錬炉が耐えられない。
しかし、レーザーを使って膨大な熱エネルギーを集中させれば、炉を壊すこともなく特定の元素だけを取り出せる。

東工大の研究室で行っているマグネシウム製錬実験は次のようだという。
材料の酸化マグネシウム250gを筒状の容器に入れてレーザー発生装置に入れる。
この容器をめがけて400Wの炭酸ガス赤外線レーザーを照射。
一瞬パッと閃光を放って数10mgの酸化マグネシウムが気化。直ぐにアルゴンガスなどを吹き付けてマグネシウムを急冷させると装置内の銅板に蒸着。
現時点では気化したマグネシウムの60〜80%を金属マグネシウムとして取り出せるという。これを100%に近づけるのが課題。

研究室では一本のレーザーで実験をやっているが、300本のレーザーを使うと年間約50トンの製錬が出来るという試算が得られている。
しかし、事業化に当たっては300基の太陽光励起レーザー発生装置をまとめて1つの製錬炉とし、これを200個つくることを想定している。
設置場所は、太陽光が効率のよいモンゴルを想定している。
年間生産量は1万トン。建設費は60億円程度。
原価はランニングコストを含めてもピジョン法の1/10程度。
建設費の償却があるので原価は100円程度になると想定している。
しかし、販売価格が机上計算通り直ぐに150円/kg以下になるかどうかは、いまのところ定かではない。

もし、マグネシウムの安い量産態勢が出来、価格が150円/kg以下になったら、初めてマグネシウムが燃料になる。
最初に使われるのは間違いなく自動車。
金属と空気の酸化作用を利用した「空気電池」は昔からあった。
例えば補聴器などに使われていた亜鉛空気電池などがそれ。
マグネシウム空気電池においては、マイナス極の活物質として用いられるのが当然のことながらマグネシウム。プラス極の酸素との酸化作用で電気エネルギーが得られる。
後に残るのは酸化マグネシウム。
そして、マイナス極に使うマグネシウムを電池本体と切り離し、交換出来るようにする。これによって空気電池が燃料電池になる。これこそがポイント。
ガソリンを入れるのと同じ感覚で、マグネシウムを燃料として入れ換えながら走る自動車がつくれるというわけ。

東工大ではマグネシウムが空気電池として使う原理実証実験を行っている。
金属マグネシウムを2mm程度の粒状にすれば効率よく発電出来ることが分かっている。
その研究もやりたいが、何よりもマグネシウムを安くつくる研究を優先させるために、空気電池の研究は現在中止している。

だが、2008年7月の日本経済新聞に「トヨタが、次世代電池の開発に乗り出す」という記事が掲載された。
「それは空気電池と呼ばれる新しい電池で、エネルギー密度は1350Wh/kg。リチウムイオンの250Wh/kgを理論的に大きく上回るもの」と書かれていた。
これは、まさしくマグネシウム空気電池のことを指している。
ともかく、資源面からもリチウムイオンは限界があり、トヨタがマグネシウム空気電池の研究を始めたということであれば、世界的に弾みがつく。

そして口述者は、自動車に限らず電車も船もマグネシウムで走るようになると予言している。
さらに火力発電所では燃料だけをマグネシウムに置き換えるだけですぐ活用出来るし、電子機器用としても空気電池が使われてゆくと予測している。
マグネシウムの企業化に向けた下記のロードマップも発表している。

P1020399.JPG

この図は、なかなか理解が困難。
ただ、マグネシウム循環型社会になったら、消費者の行動は次のように大きく変わると予測している。

人々は車で出かけるとき、コンビニに寄って使用済みの燃料パックを引き取ってもらい、新しいマグネシウムのパックを購入する。
ガソリンスタンドは、もうどこにもない。そして、引き取られた使用済みの酸化マグネシウムパックは、レーザー精錬所へ送られる。
そして、人類は温暖化の地獄からやっと逃れることが可能になる…。

科学音痴の文系の人間が、新しい技術体系を説明するのは、やはり限界が…。
ただ、経営的な観点から次の疑問点は指摘出来る。
口述者の研究がまともなものであれば、なぜ文科省が予算をつけないのか?
また、トヨタ以外の自動車メーカーや電機メーカーが、なぜ開発に加わってこないのか?
そういった疑問を含めて、あとは各自で読まれて、この発想がまがい物かどうかを判断して頂きたいと思います。


posted by unohideo at 10:22| Comment(0) | 技術・商品情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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