2010年10月25日

ハウスオブザイャー2010の大賞当確? 北洲の大宮A1モデル (上)


最近の日経BPや住宅産業新聞などの多くの専門紙誌は、大変につまらない。
省エネ関連記事というと、もっぱら太陽光発電と燃料電池とLED照明のことばかり。
肝心の外皮の熱損失については幼稚園児程度の知識と関心しか持っていない。
だらしのないジャーナリストが、日本の建築物の省エネ化を阻害している主因の一つだと言ったら怒るだろうか?
怒って喰い下がってくるほどの気骨のあるジャーナリストが居たら頼もしいのだが・・・。

そうした中で唯一、外皮の熱効率性能と設備機器の性能を正しく評価し、住宅業界の省エネ化に正しいインパクトを与え続けているのがハウス・オブ・ザ・イャー・イン・エレクトリック。
オール電化住宅に限られているのは残念だが、現時点ではもっともまともな省エネ住宅の発掘と普及を促す表彰制度。
しかし、このハウス・オブ・ザ・イャーも、昨年度、一昨年度と2度も連続して表彰してはならない会社を表彰するというチョンボを犯した。
その内容については今年の2月20日と25日の「今週の本音」で書いているので、「技術・商品情報」のカテゴリからどうぞ。

ハウス・オブ・ザ・イャーはどこまでもジェントルマン・シップが基本。
性能とか実績戸数は自己申告制。
といっても、常識的に中堅から大手の場合は最低20棟から40棟の実績が条件。
年間30棟程度の地場ビルダーだと最低数戸。
年間7〜8棟でも2〜3棟は欲しい。デモハウスを1棟建てたからと言うだけでは資格がありませんよと、仲間に話をしてきた。

ところが、一昨年度のサンワホーム、昨年度のフィアスホームとも実績の裏打ちがほとんど感じられないのに受賞。
これは、審査する側にも責任があると言いたい。
如何にジェントルマン・シップとは言え、少なくとも大賞候補は、その実態を事務局が足で確かめることが不可欠。間違っても倒産間際の会社に大賞を与えてはならない。客観的な目で現場主義を貫くこと。それをやらなかったから紳士協定を逆手にとる疑惑が内側から発生したと仄聞している。今年はK社との関わりが一部で囁かれている。
もう一度初心に還って「ジェントルマン・シップ」を確認していただきたきもの。

さて、今年度の大賞の最有力候補は、本来だったら一条工務店のi-cube。
性能・実績面で文句の付けようのないダントツ。
ところが、数戸の実績しかなかった一昨年度に応募し、単なる優秀賞で終わってしまった。あわてる乞食はなんとかの自業自爆。
私が、新規にオープンした浦和のハウジング・パークを訪れたのは、i-cubeに変わる大賞の本命候補が存在するかどうかを確かめたかったから。
なにしろ、名のあるすべての大手が最新作を掲げて揃い踏み。ヒントが得られるはずだと考えた。
しかし、各社の「省エネポイント」を読んでゆくと、これはという目ぼしいものにぶつからない。聞きなれた謳い文句が多かった。
その中で、これはという5社に絞って取材した。なかで最も際立っていたのが北洲ハウジングの新商品「アルサス A1」。

P1030601.JPG

外観は、同社独特の大屋根方式。
2階の南北の壁高は2.45メートルではなく、半分くらいの高さにして8寸程度の急勾配の屋根を架ける。2階建でも大きな屋根面が見える。
そのまま1階まで屋根を伸ばしてくると写真のような大屋根となる。ドイツや北欧などで多用されているデザイン手法。
ただ、北側斜線が厳しい間口の狭い狭小敷地では、この急勾配の大屋根方式の採用は正直言って難しい。

そしてこの外観を見て、うかつにも私は太陽光が搭載されていないと判断した。
屋根材は三州陶器の洋瓦。
コロニアルと違って存在感があり、鮮やかな濃紺が大屋根の美しさを引きたてている。
これはメンテナンス面でも格段に優れている。

P1030603.JPG

しかし帰って写真をみてびっくり。玄関正面からの写真では何も見えなかったのに、上の南西の妻側から見た写真では、屋根の一部の色が若干濃くなっていることに気づいた。
拡大してみたら、ピンボケだけれどもソーラーパネルに間違いなさそう。
開発担当者にメールしたら、シャープの瓦一体型パネル3.5kWが搭載されているという。

P1030612.JPG

それにしても見事なもの。
大屋根の美しさを少しも損なうことなく、太陽光パネルがカクレンボしている。
まさに「技ありの一本」。
これは、日本のソーラーパネルがここまで進化していたと言うよりは、目立たない瓦を選んだ設計者のセンスをほめるべきなのだろう・・・。

P1030590.JPG

さて、外観の屋根に触れたついでに、外回りの外装仕上げとサッシ、外付けブラインドについて触れておこう。
外壁は充填断熱140ミリ+80ミリの外断熱。
北海道以外ではトップの標準仕様。
その作業手順と内容については7月30日と8月25日のこの欄で紹介済みだから省略させていただく。(カテゴリ 技術・商品情報)

DSC_0077.JPG

使用しているサッシは輸入品のDフェンスター・アルミクラッドの木製。
アルゴンガス入りのLow-Eのペア。  U値は1.3W。
性能面ではやや不満は残るが、機能的にはドレーキップ、内開き、内倒し、フィックス、両開きなど種類が多彩で、充実している。しかも高さが2.35メートルと天井面まで届くものもある。

そして、注目されるのはドイツ製の「エーデルヴァレーマ」という外付けブラインド。これを南面に、全面的に採用。
これは他社が採用しているシャッターではない。どこまでも日射遮蔽のためのブラインド。
したがって、台風が来たときは、巻き上げておく。
また、このブラインドを角型のレールの中に入れたのでは目立ち過ぎてデザインを殺してしまう。そこで鋼線を採用しているところが憎い。

P1030581.JPG

これは、テラスに出るための2.35メートル高の両開きの連窓。

壁・天井・床断熱の厚さとサッシと換気の性能から考えたら、本来だとこの家のQ値は軽く0.9Wを切っているはず。
ところが表示は0.96W。
これは2.35メートルというハイサッシを多用しているのが原因。
これは、性能もさることながらデザイン性にこだわる同社の選択肢の一つ。



posted by unohideo at 05:24| Comment(0) | 技術・商品情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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