2010年10月30日

ハウスオブザイャー2010の大賞当確? 北洲の大宮A1モデル (下)


前回は、熱損失係数を決める主要因である外皮の性能を見てきた。
私の手計算では外壁のU値が0.18Wと、パッシブハウスの0.15Wという規定を若干下回っているが、天井面では0.1Wとはるかに上回っている。
したがって内地では、こと断熱に関してはこれ以上の仕様を求める必要はないと私は考えている。予算が余っている人は別にして・・・。
ただ、サッシのU値が、現時点では国内で流通している最高値の1.3Wだが、パッシブハウスの求める性能からは下回っている。
換気の熱回収も全熱で90%以上と、パッシブハウスの規定を上回っている。
つまり、安価で性能の良いサッシが普及してくれさえすれば、このA1仕様でパッシブハウスの規定は簡単にクリアーする。
パッシブハウスと大騒ぎする必要はことさらない。
要は機能的にも価格的にも使いやすい0.8Wサッシの出現を待望するのみ。

そのパッシブハウスの規定を上回る換気だが、ダイキンの熱回収率90%以上の全熱交換機「ベンティエール」を採用している。
温度交換率が90%以上、エンタルピー効率が80%以上というもの。
一般的には光触媒ないしはストリーマユニットを採用するのだが、モデルハウスではトイレと浴室を使わないので設置は省略。
この大宮モデルの延べ床面積は207.47m2(62.63坪)で、大きな勾配天井空間がある。
このため気積が大きく、有効換気量が180m2のベンティエールを1、2階にそれぞれ設置。

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そして、今まではA1仕様は仙台を中心に展開してきた。需要地域が北関東以北ということで個別空調システムが多かった。
今度、南関東に進出するに当たり、大宮モデルではセントラル空調換気システムを採用している。
機種はアメニティビルトイン5.0kWを1階は天井空間に、2階は小屋裏空間に設置している。

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このモデルハウスの最大の魅力は、大屋根の勾配天井を利用した階段室を兼ねた居間の大きな吹き抜け空間と、ダイニング空間。
とくにこのダイニング空間は楽しい。
東面は長いハシゴ付きの書架となっている。
今から30年前に、このような高い書架を持ったアメリカのモデルで見たことがあるが、ハシゴ付きは初めて。
そして、2階の床には空調の吹き出し口が見える。
個別空調の1/4程度の緩くてソフトな空気の流れが、大きな開口部へ向かっている。

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居間の大空間では、吹き出し口が大きな開口部の横から吹き出している。

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大宮のハウジングパークでは、私の調べたところではセントラル空調換気システムを採用していたのは三井ホーム、三菱地所ホームと北洲の3社だけ。
それぞれ熱損失係数が異なるから機種の容量が異なり、吹き出す空気の量が異なる。
セントラル空調換気システムを考慮されている方は、同じセントラルシステムでも、その必要電気代とソフトさの違いを、大宮では比較体験してみることが出来る。

CIMG5552.JPG

2階の機械室は、天井高1.3mと低い小屋裏に設けられている。

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そして主寝室は、勾配天井面に吹き出し口。

このモデルのインテリアコーデネィトは抜群。
メリハリの効いた白と黒が、ものすごく調和している。
そのポイントはウォールナットの床材。
無垢材ではなく3層フロアだが、やはりウォールナットの効果は大きい。
http://www.hokushu.net/import/3wal.html

DSC_0112.JPG

そして、このモデルハウスではLED照明が77%採用されている。
残りの17%が蛍光灯で、白熱灯が6%。
省エネ性の高い照明。

最近のアメリカがどうなったかは知らない。
昔はほとんど白熱灯のスタンドが主体で、あとはブラケットが多く、食堂だけにペンダントが使われていた。
ところが、どの家にも必ず蛍光灯のシーリングライトに煌々と照らされている部屋があった。
それは、キッチン。
アメリカでは、家の中で作業をする場所はキッチンのみ。あとはガレージ。
この作業をする場所だけは蛍光灯で隈なく照らす。
それ以外の場所の明かりは、必要最低限度の灯りでムードを楽しむ。
ヨーロッパも基本的に同じ。
ただ、すべての部屋を蛍光灯で照らさないと気が済まない日本。
それをLED照明に変えることで、ダウンライトのお化けになることは避けたいもの。

P1030583.JPG

そして、浴室はINAXのシステムバス。
これもコーデネィトされていて美しい。


このように、省エネという面では非常に参考になる点が多いモデルハウス。
果たして、このA1仕様を上回るだけの性能と機能と着工実績を持った住宅が、ハウス・オブ・ザ・イャーに姿を見せてくれるだろうか?
大いに関心が寄せられるところ。



posted by unohideo at 09:04| Comment(0) | 技術・商品情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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