北海道のビルダー仲間のほとんどが、毎年と言っていいほどこのジャパンホームショーに参加している。
東京に住んでいると、4〜5年前まではこのジャパンホームショーというのはそれほど魅力のある存在ではなかった。大手建材メーカーが参加しておらず、展示会場は東1から東3までと限られているから・・・。
むしろ、ナイスやジャパン建材の展示会の方がテーマがはっきりしており、出展コマ数も多く、内容が充実していた。
ところが数年前から建材問屋の展示会場の半分が工務店のコマで占められ、工務店がバスでお客を接待して顧客を囲い込む場に変身。展示会としての魅力が激減。
それまでは、大手の住宅メーカーや設計事務所関係者も問屋の展示会に参加していた。
だが、工務店主体になってからは2度と行きたいとは思わなくなった。
情報発信の場でない単なる接待の場へ、誰が忙しい時間を潰して行くものか!
そして、ジャパンホームショーの方が、相対的に面白くなってきた。
とくにこの2〜3年は、パッシブハウスということもあって、ドイツ館の展示が注目を集めてきた。セミナーも聞かせた。
そして、今年はドイツ館よりも日本の中堅どころの出展に面白いものが多くみられた。
まず、注目を集めたのが不燃木材。
今までは、木材の展示と言うとほとんどが内装の床材、壁材、ケーシング関連。
構造材では金物工法に限られていた。
そして集成材は、体育館などの大型建築物には多面的に使われてきた。
耐火集成材なるものの存在は知っていた。
集成材は、表面が燃えて炭化するが、4.5センチの「燃え代」厚があればそれ以上は燃えない。したがって1時間耐火構造になるということは法的に認められている。
しかし、H型鋼と集成材がドッキングした「ハイブリッド集成材」なるものを初めて見せられて、びっくりした。
構造強度はH型鋼が担当。溶接あるいはボルト接合でラーメン構造に。
そして耐火被覆を集成材が担当するというわけ。
もちろん、大きな集成材だから、ハイブリッドというだけの強度を持っている。
しかも仕上げ材としても美しいのだから文句なし。
このような中層ビルにも採用されている。
技術的には大変に面白いけれども、価格的に見合うのかどうかという細部については、残念ながら分かりません。
しかし、ハイブリッド集成材がホームショーに顔を出してきたということがエポックメーキング。これからが楽しみ。
http://www.saito-mokuzai.co.jp/home.html
また、無垢の構造材や板材に不燃材を含浸させた不燃木材の展示もあった。
http://www.rnac.ne.jp/~rinzai/
そして、日本では「不燃材などの裏あてを使用せずに」、初めて防火地域・準防火地域の屋根材として使える天然木の「ウィル・ルーフ」が、チャネルオリジナル社から登場してきた。
不燃液を加圧注入させ、飛び火試験に合格したと謳っている。
そして、外壁仕上げ材としても準耐火構造60分・準耐火構造45分・防火構造・準防火構造の認定取得により2階建だけでなく3階建の外装や、特殊建築物の内装にも使えるというもの。
さらに同社は、国内のメーカーにOEM生産させたU値が0.99Wのウッドサッシを「チャネルフェンスター」という商品名で、またアメリカのATRUMのU値1.24Wの3層樹脂サッシを「アトリウム」という商品名で、新規に発売を開始している。
この展示会が初顔見せ。
今までになかったダイナミックな動き。
http://www.channel-o.co.jp
もっとも、ATRUM社の3層樹脂サッシを取り扱ったのは、ナータック・ビルディングサプライ社の方が早く、1年前より輸入販売しており、本社は福岡だが横浜事業所を中心にかなりの実績を挙げている模様。
いずれにしても、輸入樹脂サッシもトリプルガラスの時代に入ったことは事実。
http://www.nahtag.co.jp/
そして、話題を集めていたのがドイツのパーツェン社のU値0.77Wと0.85Wのアルミクラッドの木製窓。
0.77Wと0.85Wの違いは、木の枠の中に熱を遮断する断熱材が挿入されているかいないかの違い。
そして、写真のように外部に別会社の電動遮熱スクリーンないしは電動ブラインドシャッターを取り付けることも可能。
そして面白かったのは、ウッドの部分に日本のスギを使ったものがあったこと。
カットサンプルだからうまく出来たのかも知れないが、その美しさには感動させられ、スギの良さを見直させられた。
価格的にも面白いが、日本における販売体制がこれからで、完全に使いこなせるようになるには若干時間がかかりそう。
しかし、閉鎖的な封建社会の日本のサッシ界に、登場してきたこれらの黒船が果たしてくれる役割は大きそう。
下記のURLにはジャパニーズ版が用意されている。
http://pazen-fenster.de